さよならまぼろし

一次創作サイト

山眠る

山眠る 3

私は夢を見ていた。なぜ夢を見ているとわかっているのか、わかっていて覚めないのか、いったいどういう状況なのかはわからなかった。しかし過去の夢を見ているということだけがわかった。 これはいつごろの記憶だろうか。卯月に入ったばかりのまだまだ肌寒い…

山眠る 2

しかし、何を考えたところですべては無駄なことである。死はどんな形であれ死である。今となっては骨片となってしまった人間が蘇るなどということはない。没薬はかつては木乃伊を腐らせないよう用いられていたようだが、没薬の香を焚いたところで骨片が骨片…

山眠る 1

人の命とはゆるやかに消えて行くものである。 死期が近づいていると気づいたその玉響にはもうすでに物言わぬ骸と化している。 "彼"もあっという間に死んでしまった。"彼"は労咳だった。発症してからほんの数か月で病という名の魑魅はいともたやすく"彼"を死…

山眠る(ワンライver)

人の命とはゆるやかに消えて行くものである。 死期が近づいていると気づいたその玉響にはもうすでに物言わぬ骸と化している。 "彼"もあっという間に死んでしまった。"彼"は労咳だった。発症してからほんの数か月で病という名の魑魅はいともたやすく"彼"を死…