さよならまぼろし

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2024-01-01から1年間の記事一覧

2023/9/1 歴創版日本史ワンライ「相国」

これは足利義満が左大臣の職に在ったときのことである。永徳二年十月のある日、義満は自らの御所に南禅寺住持である春屋妙葩と等持寺住持の義堂周信を召した。この二人の僧は義満がなにより信頼する師であった。「兼ねてより話を続けているあの寺の件、内裏…

さびしさのけだもの

簾の下りた室の中はまさに夜そのものだった。灯台の火が几帳に影を作り、己が以外は何者も存在していないような寂寥がそこに横たわっていた。常に感じている感覚ゆえに腹の内に収まったような馴れさえあるが、それと同時に諦めもあるような物悲しいようなよ…