「一条大納言、今日は特別に余を好きにしていいようにしてやろう」 人を追い払った室町第の一室で義満はにこやかに宣言した。その向かいに座して呆れたように溜め息を吐いた。 「藪から棒になんですか」 「そなたには日々世話になっておるからな。たまにはそ…
この季節は暑い上にじめじめとしていて雨が多い。昔は『修練で頼之にしごかれなくて済む』と喜んでいた義満だったが今となっては悪いところしか見当たらず、梅雨の気候のせいで連日降る雨にすっかり嫌気がさしていた。「よしゆきー…」花押を添えた料紙を指で…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。